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衝撃!日本人の8割はマンモグラフィに向いてない? 乳がん検診の落とし穴「デンスブレスト」

皆さん、10月はピンクリボン月間ですね。今年もいろいろなところで乳がん啓発活動がおこなわれると思います。乳がんは日本人女性では30代から急増し、働き盛りの40代50代に罹患率のピークを迎えるというのが特徴ですが、「若い世代がなるがん」ではなく、70代、80代でも、どの年代でも発症します。

そういわれても、どこか他人事という人も多いのでは。11年前の私もそうでした。「健康自慢の私が40代でがんになるはずない」って。でも44歳で乳がんが見つかり、10年前の今頃、抗がん剤中で髪も眉毛もまつ毛も鼻毛もありませんでした。

当時、日本女性の罹患率は23人に1人といわれていたのが、最新のがん統計では11人に1人。なんと10年で倍に増えている計算です。最近ではタレントの北斗晶さんや小林麻央さんなど著名人が相次いで乳がんを告白されたことで、乳がんへの意識が高まっているのは歓迎すべきことです。

 

今の乳がん検診は完ぺきじゃない!? デンスブレストの落とし穴

いっぽう、「乳がんは治る病気」とされる一面もあります。実際に早期発見ができれば9割近くが治り、新薬もどんどん開発され、たとえ再発しても打つ手がある病気になりました。それでも、亡くなる方が増えているのが現実です。

残念ながら乳がんに確実な予防法はありません。となれば、なっても大事に至らないように、早く見つけることが自分にできること。そのために乳がん検診があるのです。

さて、ここからが本題で、ちょっと逆行しますが、今から乳がん検診は完ぺきではない、という話をします。

現在、乳がん検診で推奨されているのは、X線を用いたマンモグラフィ(以下、マンモ)です。マンモは唯一、エビデンス(科学的根拠)がある(みんなが受けると死亡率が下がるというデータがある)検診として、日本でも40歳以降は2年に一度マンモグラフィ検診を受けるように推奨されています。

ところが日本乳癌学会のガイドラインは2015年、50代のマンモグラフィ検診の推奨グレードをA(確実)からB(ほぼ確実)に引き下げました(ちなみに40代はもともとB)。ガイドラインでAからBへ引き下げられることは、滅多にないことだそうですが、実はこれ、世界的な流れなのです。

では、なぜ引き下げられたのでしょう。大きな要因として、マンモグラフィで見落とされる乳がんが少なくないことが挙げられます。

皆さんは「デンスブレスト」という言葉を聞いたことがありますか? 乳房はおもに脂肪と乳腺組織でできていますが、デンスブレスト(高濃度乳腺)とは、乳腺組織の濃度が高い乳房のことをいいます。

マンモグラフィはしこり(腫瘍)を白く映し出しますが、乳腺組織も同様に白く映すため、乳腺組織が密集している乳房では、しこりが乳腺に隠れて見えないことが多いのです。そのため、乳腺濃度が比較的高いとされる40代未満にマンモグラフィは推奨されていませんが、実は、50代でも70代でもデンスブレストの人が多いのです。具体的には脂肪が多いアメリカ人でさえ4割。日本人はなんと8割近くがデンスブレストということがわかってきているのです。

資料提供/NPO法人乳がん画像診断ネットワーク

乳がんへの意識が高く、毎年きちんとマンモグラフィを受けていて、「異常なし」と診断されていたのに、自分でしこりを見つけて病院へ行ったら、早期ではない乳がんが見つかったとしたら……泣くに泣けないですよね。でも実際にそういう人が少なくありません。これ、とても怖いことだと思いませんか?

私たちがマンモグラフィを受けると、診断画像から、「脂肪性」「乳腺散財」「不均一高濃度」「高濃度」の4段階に分けられます。このうち、「不均一高濃度」と「高濃度」がデンスブレストで、しこりが見えにくいタイプです。デンスの場合、「異常なし」はマンモには映っていなかったという意味で、しこりはありませんとは言い切れなく、超音波検査も併用したほうがいいのです。ところが、ほとんどの自治体や企業検診、自由検診でも、デンスかそうでないかを私たちに知らされることはありませんでした。

 

確実な検診にするために、私たちがやるべきこと

ではどうすればいいのか……。マンモグラフィ検診の結果が異常なしでも、「私の乳房はデンスブレストではありませんか?」と、病院や自治体の検査機関に問い合わせてほしいのです。診断のときすでに四段階に分類されているので、調べればすぐにわかること。たとえ面倒くさがられても、自分を守るためですし、検診した自分の乳腺情報を教えてくれないこと自体、おかしな話です。そして、もしデンスブレストならば、実費でも超音波を追加してほしいのです。

デンスブレストの問題は、アメリカではすでに「Are You Dens?」という運動が広がっていて、マンモでデンスと診断された人には、そのことを伝え超音波検診の追加をすすめることを義務づける法整備をしている州が増えています。日本にはそのような法律はありませんが、今年7月に読売新聞全国版の一面にもデンスブレストの問題提起がなされたことをきっかけに、施設や自治体が少しずつ動き出したところです。

さて、もしデンスブレストだった場合、マンモはしなくていいのかというと、そうではありません。マンモはしこりにならず微細石灰化として見えるがんを見つけ出すのが得意だからです。何を隠そう、私はしこりにならず石灰化として広がるタイプのがんで、マンモでなければ見つけることはできないタイプでした。そして、私もデンスブレストでした。

真実を知らなければ、せっかくの乳がん検診も中途半端なものになってしまいます。この記事を読んだらぜひ、周りの人にも教えてあげてください。そしてデンスとわかったら、マンモと超音波を併用するか、マンモと超音波を交代で受けてください。そして乳がん検診で「異常なし」と言われても、何か乳房に変化があったら、迷わず病院へいき、「検診」ではなく「検査」をすることをおすすめします。

最後に、デンスブレストについて詳しく知りたい方は、NPO法人乳がん画像診断ネットワーク(BCIN)のサイトをチェックしてみてください。

山崎 多賀子

この記事を書いた人

山崎 多賀子

美容ジャーナリスト
1960年生まれ会社員、出版社へ転職し女性誌の編集者を経てフリーに。2005年に乳がんが発覚し、闘病中には自らの体験記や医療者などへ取材した記事を女性誌「STORY」(光文社)で連載、著書「キレイに治す乳がん宣言!」を上梓。現在「がんサポート」(エビデンス社)誌にて「いきいきキレイ塾」を連載中。医療系雑誌や乳がんムック誌など、がん関係の取材、執筆も多く手がける。 また、がん患者が闘病中も美しくいることの大切さをテーマに、聖路加国際病院で患者サポートプログラム「ビューティリング」にて月に一度、メイクセミナーの講師を担当するほか、全国各地で講演や患者さん対象のメイクセミナーを行っている。乳がん仲間とNPO法人女性医療ネットワークにて、女性の乳房の健康を応援する会「マンマチアー委員会」を立ち上げ、銀座にて毎月セミナーを開催。

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