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深酒すると、記憶がなくなる

1.症状

自覚がないままシラフの普段のように行動するのが特徴

一気飲みで血中アルコール濃度が急激に上昇したり、長時間飲み続けて酒量が増えると、記憶が飛んでしまう人がいます。「昨日のことは覚えていない」「どうやって帰ったのかもわからない」「きちんと鍵までかけて寝ているのに、まったく記憶がない」等々。フラフラと千鳥足にならず(なる人もいます)、シャキっと行動しているので、見た目には泥酔していると思えないでしょう。それを笑い話にしたり、武勇伝にする人もいるようです。

また、記憶が飛んでいる間に、感情抑制のブレーキが外れてしまうと、暴言を吐いたりして、周りの人を困らせてしまう場合も……。

 

2.原因

ブラックアウトという、脳の軽い意識障害

大量のお酒で急性の中毒症状を起こし、意識障害を起こしたのかもしれません。この状態は、医学用語で『ブラックアウト』といいます。意識障害を起こしても、体の動きをコントロールする部位に障害は受けないので、日常的に行っている行為を普通にできるのが特徴です。脳に重篤な障害が起きると、歩けなくなったり、意識を失い倒れてしまうので、ブラックアウトは、ごく軽い意識障害だといえるでしょう。しかし、脳のどの部分で意識障害を起こしているのかは、未だ解明されていません。

 

3.放っておくと…

加齢すると、物覚えが悪くなってしまうかも!?

軽い意識障害とはいえ、何度もブラックアウトを起こすと、40代後半以降から物覚えが悪くなってしまうかもしれません。

また、ブラックアウトにならなくても、毎晩、お酒を飲み過ぎると(1日に日本酒4合を10年間)、脳の委縮が起こってきます。特に委縮するのは、脳の中で記憶を司る海馬という部位(左右の側頭葉の内側に位置。右図参照)。物忘れの頻度が多くなったり、現在の時間や場所、人などについての認識に障害が起きやすくなりがちです。

アルコールは食物とは違い、本来、人間の体に必要ないもの。飲酒とは、わざわざ異物を外から摂っているわけですから、飲み過ぎれば脳に障害が起きやすくなってしまうのです。

 

4.対策

「ブラックアウトは生涯に1度まで!」

お酒を飲み過ぎないことが、ブラックアウトを防止し、脳のエイジングケアになるのだという意識を持ちましょう。「ブラックアウトになるのは、生涯で1度だけ」が医学的常識。2度、3度と繰り返してはいけません。ブラックアウトになる前触れはないので、自分で酔ったかな? と思ったら、それ以上飲まないように気をつけてください。

血中アルコール濃度を急上昇させない飲み方を

ブラックアウトにならないために、急激に血中アルコール濃度を上げない工夫をしましょう。おつまみを食べつつゆっくり飲み、チェイサーのお水を飲みながらアルコールを嗜んで。ただし、ダラダラ飲み続けると、結局は血中アルコール濃度が上がってしまうので、酒量を控えることが最も大切です。医学的見地からいうと、体に害を及ぼしにくい1日の飲酒量は、瓶ビール1本、日本酒1合まで。

脳のダメージは、早寝早起きでケアしよう

ブラックアウトを起こしやすい体質というのも、まだ解明されてはいません。しかし、軽い意識障害を起こすくらいですから、脳にダメージを与えているのは確か。脳のスムーズな働きは、良質な睡眠によって維持されます。飲酒直後の眠りは、浅い睡眠になってしまうので、寝る2時間前までにお酒を飲み終え、早寝早起きする生活を維持してください。また、毎晩飲んでいる人は、週に2日は休肝日にしましょう。

ビタミンB群で脳神経を健やかに

どうしてもお酒を控えることができないなら、日常的にビタミンB群を摂るように意識して。オススメなのはB1 、B6、B12。脳神経を健やかに保つ補酵素だからです。B1を多く含むのは、豚ヒレ肉、生ハム、豚もも肉など。B6を多く含むのは、ニンニク、マグロ、牛レバーなど。B12を貝類に多く含まれていて、シジミ、赤貝、アサリなどです。

 

 

古賀 良彦

古賀 良彦(こが よしひこ)

杏林大学医学部 精神神経科学教室 教授
医学博士1971年慶応義塾大学医学部卒業、同大学医学部精神神経科学教室入室。76年杏林大学医学部精神神経科学教室に転じ、90年に同大学助教授、95年に教授、01年主任教授となり、現在に至る。日本臨床生理学会理事、日本薬物脳波学会副理事長、日本催眠学会理事長他、多数の学会役員、評議員を兼ねる。

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