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慢性的な腰痛持ちの母。何だか背も縮んできたみたい……

1.症状

慢性的な腰痛に悩み、年々小さくなる高齢母を心配する子供たち

厚生労働省調べによると、日本人の病院受診理由は、女性の第1位=肩こり、第2位=腰痛、第3位=手足の関節が痛む。男性の第1位=腰痛、第2位=肩こり、第3位=鼻がつまる・鼻汁が出る、という結果に。腰痛で悩んでいる人はとても多いのです。

特に、閉経後の女性は、慢性的な腰痛が、高齢になるほど増えている様子。また、腰痛と共に、猫背になり、背丈が縮むという傾向も。帰省するたびに、身長が低くなっている母親を、子供たちは心配していますが、どうすればいいのかわからないのが現状です。

 

2.原因

閉経後の女性ホルモン減少で、骨の代謝が鈍ってもろくなる

骨は成長期に活発につくられ、20歳頃にピークを迎え、40歳くらいまでには成長が一定してくる傾向に。その後、骨は成長期が終わっても代謝を繰り返します。骨を壊す働きをする“破骨細胞”が骨を吸収する一方で、骨をつくる働きをする“骨芽細胞”が、破骨細胞によって吸収された部分に、新しい骨を形成。

女性ホルモンのエストロゲンは、骨の代謝に大きく関与しています。閉経を迎え、エストロゲンの分泌が激減すると、骨の形成が、“破骨細胞”による吸収に追いつかなくなり、骨量が減り、それが骨粗鬆症の原因に。

 

知らないうちに背骨がつぶれ、慢性的な腰痛に

骨粗鬆症自体に自覚症状はありませんが、骨折を起こしやすい状態に。特に、高齢の女性は、背骨がつぶれるような“圧迫骨折”になっている場合もあるのです。強い痛みが生じないので、骨折に気づかないことも……。また、くしゃみをしたり、尻もちをついたりする程度の衝撃で、骨にヒビが入ることもあります。

背骨の圧迫骨折は、徐々につぶれて変形するので、背中が曲がったり、身長が縮んだり、慢性的な腰痛を引き起こしてしまうのです。

 

3.放っておくと…

介護予防のために、男性はメタボ、女性はロコモに気をつけよう!

つまずく程度の軽い衝撃でも、骨粗鬆症の人は、足の付け根を骨折することがあります。そうなると、歩けなくなり、寝たきりになってしまうことも。

ロコモ:ロコモティブシンドローム(運動器症候群)とは、2007年に日本整形外科学会が提唱した言葉です。加齢に伴う筋力の低下、関節や脊椎の病気、骨粗鬆症などにより、運動器の機能が衰え、要介護や寝たきりになるなど、そのリスクの高い状態を表す言葉。

男性が要介護になる原因の4割が、高血圧、高コレステロール等による脳卒中であるのに対し、女性の3割は運動疾患が原因。介護予防には、男性はメタボに気をつけ、女性はロコモに気をつけるべきです。

 

4.対策

閉経前は食品で、閉経後は薬で骨粗鬆症を予防

閉経の平均年齢は約50歳。閉経までは、骨の形成に必要なカルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどを含む食品を意識しながら、栄養バランスのいい食事を心がけましょう。

カルシウムを多く含む食品は、干しエビ、煮干し、パルミジャーノ・レジャーノ(=パルメザンチーズ)、えんどう豆など。カルシウムはビタミンDと一緒に摂ると、吸収されやすくなります。ビタミンDを多く含む食品は、きくらげ、しらす干し、イワシのみりん干し、いくら、鮭など。ビタミンKは、カルシウムが骨に付着するのを促す作用が。ビタミンKを多く含む食品は、抹茶(粉)、ひきわり納豆、乾燥したカットわかめ、パセリ、シソなどです。

ただし、閉経を迎えてからは、どんなに骨の形成に必要な食品を摂っても、骨を壊す破骨細胞の働きが優位に。閉経後の女性は、健康な人であっても整形外科を受診し、ドクターが処方する骨粗鬆症を予防&改善する薬を服用したほうがいいでしょう。

 

骨に重力という負荷をかけると、骨量を保てる

骨粗鬆症予防には、ウォーキングやジョギング、筋力トレーニングなど、骨に重力をかける運動がオススメ。この重量が骨量を保つのです。しかし今現在、骨粗鬆症で腰や背中に痛みがある人は、すぐドクターに診てもらい、コルセットを装着するなどの対策をとってください。

 

くしゃみで咳をするときを、体が上下しないように支える

骨粗鬆症がひどくなると、くしゃみや咳をするだけで、骨折することも。くしゃみをする直前、体が上に引き伸び、くしゃみと共に体は引き下がります。その上下の衝撃が骨折の原因に。防止するためには、くしゃみをするとき、両手をテーブルやイスなどに当て、体が上下しないように支えましょう。

 

膝関節、股関節、骨盤をスムーズに動かす「ジャックナイフ・ストレッチ」

若くても腰痛に悩む人が多い現代。腰痛患者さんは、体が硬いという特徴があります。前屈して、手のひらが床にピタっと付かなければ、腰痛になりやすいタイプ。それは、下肢

後面をつくる筋肉(膝の後ろにある筋肉)の総称“ハムストリングス”が硬いからです。ハムストリングスが硬くてピンと張り詰めていると、膝関節や股関節、骨盤が前に回転する動きまでも硬くなり、腰の負担が増え、腰痛を引き起こすといわれています。

そこで、今注目されているのが、ジャックナイフ・ストレッチという方法(下図左)。ジャックナイフとは、折り畳み式ナイフのことです。胸と太ももをぴったりと付けて、できるだけ膝を伸ばしていくストレッチなので、そのようなネーミングに。

まず、深くしゃがんで、足首をしっかりと握り、胸と太もも全面をぴったりとくっつけます。その状態から膝をできるだけ伸ばしていきます。その際、胸と太ももが離れないように注意。このポジションで10秒間キープし、これを5セット行います。朝と夜の2回行えばより効果的。このストレッチを続けると、腰痛がかなり緩和すると評判なのです。

 

 

高齢で骨粗鬆症なら「アクティブ・ストレッチ」で歩行をスムーズに

高齢で骨粗鬆症になっている人は、ジャックナイフ・ストレッチはハードかもしれません。そこで、アクティブ・ストレッチという方法を試してみてください(上図右)。布団などの上で、仰向けになって寝ます。片方の脚を上げ、太ももの裏側を両手で支え、膝は曲げた状態に。そのまま、膝から下をググッと上げてストレッチ。次に、もう片方の脚も同様にストレッチ。この方法も、自分で膝を伸ばす方向に力を入れることで、膝の後ろにあるハムストリングスが自然な反射でリラックスし、自分自身で伸びようとして柔らかくなるので、膝関節、股関節、骨盤の動きがスムーズに。すると、歩行もスムーズになるので、横転しにくくなり、骨折するリスクを下げるのです。

 

 

西良 浩一

この記事の監修

西良 浩一(さいりょう こういち)

帝京大学医学部付属溝口病院 整形外科 准教授
専門分野はスポーツ医学(腰痛)脊椎外科。 子供の腰痛やスポーツ選手の腰痛治療で評判が高く、ジャックナイフ・ストレッチの名付け親でもある。 日本整形外科学会整形外科専門医。日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医。 日本体育協会公認スポーツドクター。

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