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ニオう汗を、昔のような“サラサラ汗”に戻すには?

ニオう汗を、昔のような“サラサラ汗”に戻すには?

井上 肇

聖マリアンナ医科大学 特任教授

井上 肇(いのうえ はじめ)

1.症状
脂ぎってなくても、顔がベタベタ……

若いころは水のようにサラサラと無臭な汗をかいていたのに、最近は肌にまとわりつくような、ベタつく汗になってきた。

そのせいか、皮脂分泌が正常でも、顔や首まわりがネチョッとして見え、清潔感が消えてしまいます。また、汗をかくと嫌な臭いがするようになる人も。

2.原因
汗をかかない快適生活の代償!?

基本的に発汗は、ヒトの体温を調節するために重要な反応。体温が上昇して、正常な生理機能が営めなくなりそうだと判断すると、皮膚の毛細血管を拡張し、体温を皮膚から放出しようとします。

これで体温が下がらなかったら、エクリン腺から体液(汗)を出し、汗の蒸発熱による吸熱反応を利用し、皮膚温を下げるというプロセス。

しかし、冷暖房に慣れ、運動不足で汗をかかなくなると、炎天下、または、節電温度の室内にいると、体温調節が追い付かず、いきなり猛烈に発汗することが。異常な発汗により、ナトリウムを多く含む汗が出るので、ベタベタと不快な感触になるのです。

汗自体には本来、臭いはありません。しかし、衣服に付着している細菌やカビ、肌に付着している細菌によって分解され、有臭物質がつくられ、嫌な臭いを発散させてしまうのです。

汗をかかない快適生活の代償!?

アポクリン腺からのワキ汗がニオう

人間の汗は、エクリン腺の他にアポクリン腺からも排出されます。アポクリン腺は脇の下や陰部、へそ、耳など限られた部位に集中しています。アポクリン腺から出る汗は水分が少なく、脂肪やタンパク質などを多く含んでいます。その汗が細菌に分解されると、ワキガなど特有の体臭となります。ワキの部分などを入念に洗うなどして、清潔に保ちましょう。

加齢臭で汗がニオう

人間は加齢に伴って「加齢臭」を発するようになるのは、今や常識です。加齢臭は主に皮脂腺から出るものですが、この 加齢臭は汗腺からも出るため、汗が臭うようになります。
加齢臭は生活習慣病が大きく 関係していると言われるので、正しい生活習慣を送るようにしましょう。

ニオう汗が病気のシグナルの場合も!

ニオう汗は、病気のシグナルの場合もあります。例えば糖尿病を患っている人は、体内でケトン体が合成されるため、ケトン体特有の甘酸っぱいにおいがします。また肝機能が低下している人はアンモニア臭が、胃腸機能が低下している人は腐敗臭がすると言われています。こういった臭いが気になって体調が良くない人は、病院で診察を受けた方がいいでしょう。

3.放っておくと…
“スメルハラスメント”だけでなく、突然、失神してしまうことも!

汗をかくことは“臭い”の原因になるだけでなく、実はナトリウムを多く含む汗を大量にかくと、体内の電解質バランスが崩れ、突然、パタッと倒れてしまう危険性が。それが日射病です。また、倒れなくても、筋肉が痙攣することが。それが熱痙攣なのです。

4.対策
軽い運動でも汗腺機能は回復する

日射病や熱痙攣を起こした人に、水をどんどん飲ませるのは逆効果。ますます体内のナトリウムが薄くなってしまいますから。少し塩を入れた水やスポーツドリンク、麦茶を飲ませるといいでしょう。麦茶にはミネラルが豊富に含まれていますから。

また、普段から四季の温度変化を感じる生活をし、運動をすることが大切。それで発汗を促し、若い頃のようにサラサラとした汗に変化させましょう。ハードな運動でなくても構いません。エスカレーターを使用せず、階段を使ったり、ラジオ体操をするなど、ほんのり汗ばむ程度で十分。

汗臭さにはヨーグルトと緑の野菜で

気になる汗の臭いは、肉や香辛料の効いた食事も原因。腸内にある悪玉菌は、動物性タンパク質(特に牛肉)を栄養にし、メルカプタンやスカトール、アンモニアといった臭い成分をつくり出すから。その臭いが汗にも含まれてしまうのです。

ヨーグルトなどに含まれている乳酸菌は、悪玉腺の増殖を防ぐので、肉食の前後に、ヨーグルトを食べておくと、汗の臭いも防げるというわけ。

ニンニクなど匂いの強い香辛料には、小松菜やパセリなど、クロロフィル(葉緑素)を含んだ緑の野菜を食べると、悪臭は緩和されます。

かいてしまった汗は、すぐに拭きとる、または着替えるのが臭いを抑える上では一番効果的です。夏場は、着替え用の下着を持ち歩くようにしたり、汗をかいたらすぐに拭き取るようにするのが、周りへの配慮であり、紳士・淑女のマナーとも言えますね。

井上 肇

この記事の監修

聖マリアンナ医科大学 特任教授

日本臨床薬理学会 認定薬剤師/日本臨床薬理学会 指導薬剤師

井上 肇(いのうえ はじめ)

星薬科大学薬学部卒、同大学院薬学研究科修了。聖マリアンナ医科大学・形成外科学教室内幹細胞再生医学(アンファー寄附)講座 特任教授及び講座代表。幹細胞を用いた再生医療研究、毛髪再生研究、食育からの生活習慣病の予防医学的研究、アンチエイジング研究を展開している。

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