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心とからだに起こる「変化」を専門ドクターが詳しく検証!

からだの変化を知る

以前とはちょっと違う、心やからだの変化。そんなエイジングとともに起こる変化(エイジングサイン)を専門家が徹底解説します。

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「数年前の傷跡がずっと消えない!」は肌老化のサイン!?

1.症状

子供の頃はすぐに元通りになったのに!

子供のころは全身傷だらけになってもすぐに傷跡なんて消えたのに、最近では数年前の傷跡が未だに残っている。ちょっとした切り傷・すり傷の跡が茶色っぽくなってなかなか消えない。

そんな症状を感じたら、皮膚の再生能力が低下しているサインかもしれません。

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2.原因

お肌のターンオーバーと関係が!

傷が治るときに色素細胞が刺激され、メラニン色素の産生が増えることで色素沈着が起こり、傷跡が目立つことがあります。加齢に伴ってお肌の新陳代謝(ターンオーバー)が低下すると、沈着した色素の吸収が遅くなるため、傷跡がいつまでも残ってしまいます。

 

自力で肌を再生できない!?

傷を負った部分は、皮膚の組織が壊れ、様々な機能が失われた状態になります。生体は外傷などで損傷をすると、自らの修復機能を使って皮膚を元の状態に戻そうとしますが、歳をとると皮膚の新陳代謝の低下、皮膚再生に必要なグロスファクター(EGF、FGF、VEGF)と呼ばれる創傷治癒に関与する種々のサイトカインの産生低下などが起こり、新しい皮膚を作って元の状態に修復するまでに時間がかかるようになります。
内科系疾患(糖尿病、膠原病)などを合併すると、ますます傷の治りは遅くなって行きます。

 

3.放っておくと…

肌老化の進行にも影響が!?

グロスファクターなどのサイトカインは、もともと私たちの体内に存在しています。これらの成分は、傷が治る過程で必須となるコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などの産生に深く関与してます。しかし、これらの生産量は加齢に伴って減少していきます。さらに、お肌の細胞の元となる「幹細胞(かんさいぼう)」も老化していくため、傷が治りにくくなるだけでなく、しわやたるみといった肌老化の進行にも影響を与え兼ねません。また、肌の新陳代謝の低下が進んだり、糖尿病などが合併すると、しみが沈着しやすくなることも考えられます。

 

4.対策

新常識!「かさぶた=治りかけ」は間違い!?

以前は、傷を負ったら消毒をしてかさぶたになるのを待ち、かさぶたが剥がれるとその下で新しい皮膚ができて傷が治るという「ドライヒーリング」という考え方が一般的でした。しかし、近年ではその反対、傷口をできるだけ乾かさないようにする「モイストウーンドヒーリング(湿潤創傷治癒)」という考え方が主流になってきています。モイストウーンドヒーリングとは、傷口を清潔にした上で、特殊なガーゼとばんそうこうを用いて傷口を覆い、傷口から出る体液(滲出液(しんしゅつえき))をその場に保つことで、傷の治りを効率的にする方法です。

この方法では、滲出液に含まれる成分が皮膚の再生を助けてくれるため、傷の修復が早く、また、神経が空気に触れにくくなるため、痛みも軽減されます。さらに、かさぶたを作らないため、傷跡になりにくく、キレイに皮膚が修復されます。靴ずれ、すりきず、切り傷、軽いやけどなど、水ぶくれができた場合の治療には特におすすめです。

ただし、傷口に菌が入り込んで化膿している場合は、一層傷を大きくしてしまうので、まずはしっかり殺菌・消毒して除菌した後に、この治療法を使う様にしましょう。このようなときには、医師の診察を受ける事が賢明です。

 

最先端!「PRP(多血小板血漿)補充療法」でお肌の再生能力UP!

肌の再生機能を高める治療として、PRP(多血小板血漿)補充療法という治療が美容外科などで行われています。これは、自分の血液から皮膚の再生を促す働きをもつ成分を取り出し、濃縮して、再び肌に戻すという治療です。

具体的には、採血した血液を遠心分離機で血球成分と血小板血漿とに分け、しわやたるみの気になる部位に血小板血漿を注入します。すると、血小板血漿中に含まれるEGF、FGF、VEGFなどのサイトカインの働きで肌の再生が促され、ハリや潤いが甦るというものです。治療は自由診療。美容外科で受けられます。

また、最近ではグロスファクターなどの成分を配合したスキンケアも販売されています。体内で生産量が減ったなら、外から補給!まずは気軽に、市販のスキンケアを試してみてはいかがでしょう。

 

この記事の監修
脇坂 長興(わきさか ながおき)

【略歴】
日本形成外科学会専門医、麻酔科標榜医、医療法人 脇坂クリニック大阪院長
聖マリアンナ医科大学医学部卒業。同大学病院の形成外科でskin rejuvenationを研究。方法論よりも患者様が一番良くなる治療を提供することが形成外科医の使命であると考えている。

 

 

SUMMARY まとめ

01. 症状

怪我の治りが遅くなった。 / 傷跡が茶色くなっていつまでも残る。

02. 原因

加齢に伴ってお肌の新陳代謝(ターンオーバー)が低下すると、傷跡に沈着したメラニン色素の吸収が遅くなるため、傷跡がいつまでも残ってしまいます。また、加齢とともに皮膚の再生に必要な種々のサイトカイン(EGF、FGF、VEGFなど)の産生が低下することで、傷の治りが遅くなることも。糖尿病などを合併すると、ますます傷の治りは遅くなっていきます。

03. 放っておくと…

今以上に傷の治りが遅くなるだけでなく、小さな傷も潰瘍化したり、傷跡が茶色いしみのように角質層に残りやすくなってしまいます。さらに、しわやたるみといった肌老化の進行にも影響を与え兼ねません。

04. 対策

傷口をしっかり清潔に保った後で「モイストウーンドヒーリング(湿潤創傷治癒)」療法で、傷を湿潤環境に維持し、傷跡をキレイに治しましょう。


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