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男性更年期障害ってなに?女性だけではない、男性にも起こる更年期障害を、小山先生が徹底解説!

小山 太郎

Dクリニック新宿 院長

小山 太郎(こやま たろう)

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0:14

川和真奈美さん・Dクリニック東京医師 小山太郎先生登場

0:38

男性更年期障害とは?

1:26

男性更年期障害になりやすい人の特徴

2:03

男性更年期障害は病気?

2:28

男性更年期障害の症状は?

3:04

男性更年期障害のセルフチェック方法

4:13

今回のおさらい

※YouTubeページにリンクします

「更年期障害」というと、女性特有の症状というイメージがとても強いものです。しかし、男性にも更年期があることを知っていますか?

今回は、男性更年期障害について、原因や症状、チェックする方法などを解説します。

男性更年期障害とは何か?

600万人の日本人男性が更年期障害に悩んでいる更年期障害というと、中年女性に起こる特有の症状というイメージがあります。しかし実際には、男性にも更年期障害が起こります。早ければ、40代を過ぎたころから、更年期障害の症状が出る男性が増加します。そして、年齢を重ねるごとに、どんどん症状が出やすくなっていきます。

ある調査によると、 日本では全国に600万人ほどの男性の男性が、男性更年期障害に悩んでいると言われています。日本の中年男性を対象にした場合、その中で600万人というと、かなりの人数の日本人男性が男性更年期障害に該当するということになります。

男性更年期障害はなぜ起こる?

男性更年期障害はなぜ起こるのか。その原因は、男性ホルモンの一つである「テストステロン」が急激に減少することにあります。

テストステロンは、男性の精巣で作られる男性ホルモンで、男性ホルモンの大部分はこのテストステロンが占めています。テストステロンは男性の心や体、声などの形成に大きく影響します。男性にとっては「男らしい体格」「前向きな性格」などを形成する、非常に大切な役割を担っているホルモンです。

このテストステロンの数値(テストステロン値)が、加齢などで減少すると、心身にさまざまな悪い影響を及ぼすようになります。それが外的に発症する症状が、男性更年期障害と呼ばれるものの正体です。

男性更年期障害は病気なの?

男性更年期障害は、そもそも病気なのでしょうか。それとも、症状名なのでしょうか。医学的には、男性更年期障害は病気とされています。なお、男性更年期障害は正式には「加齢男性腺機能低下症候群」が、医学的な名称となります。また男性更年期障害は、加齢性腺機能低下症(LOH症候群)という呼び名もあります。

男性ホルモン「テストステロン」とはどんなもの?

テストステロンは、男性の精巣で作られる男性ホルモンです。そしてテストステロンは、男性ホルモンの大部分を占めています。

テストステロンは、男性の生物としての本能に大きく関わっています。
かつて人類が文明を持つ前の原始時代、狩猟には適切な判断力や行動力、筋力などが必要でした。テストステロンはそういった「男性的な行動や考え方」を形成するために必要で、いわば人類の本能に直接関係しているホルモンといえます。

また、狩猟には闘争心はもちろん集団のチームワークといった能力も必要で、こういった社会性もテストステロンが形作っています。そのためテストステロンには「社会性ホルモン」という呼び名もあるほどです。

男性更年期障害の具体的な症状

男性更年期障害を疑ったらセルフチェックを!テストステロン値が減少すると、男性更年期障害の症状を発症するリスクが高くなります。それまでポジティブ思考で、何ごとにも意欲的に取り組んできた男性が、年齢を重ねるごとに意欲や行動力が薄れ、制欲も減退する。いわゆる「老け込む」ような状態になる人は少なくありません。その影には、男性更年期障害の影響があることは否定できないでしょう。

特に高齢者の場合、記憶力の低下や筋力の低下、骨粗しょう症、夜間頻尿などの症状が出ることがあります。これらの症状は、認知症や体力の衰えに直結するリスクが高くなるので注意が必要です。
男性更年期障害には、おもに3つの特徴があることが知られています。それは、

(1)心にかかる症状
(2)体にかかる症状
(3)性機能の症状

です。

男性更年期障害による心の症状

男性更年期障害になると、男性の心に以下のような症状が現れます。

・イライラする
・神経質になる
・落ち込みがちになる
・記憶力が低下する
・意欲を失う
・集中力の低下

男性更年期障害による体の症状

男性更年期障害になると、男性の体に以下のような症状が現れます。

・体が火照る
・汗がよく出る
・筋肉や関節が痛くなる
・体の疲れが取れにくくなる
・なかなか寝付けなくなる
・筋肉がつきにくく太りやすくなる
・骨粗鬆症
・筋力の低下
・糖尿病、高脂血症

男性更年期障害による性機能の症状

男性更年期障害になると、男性の性機能に以下のような症状が現れます。

・ED(勃起不全)になる
・性的欲求が減少する
・早朝勃起(朝勃ち)が減少する
・夜間頻尿

男性更年期障害と他の病気との見分け方

男性更年期障害と他の病気との見分け方男性更年期障害の症状には、「心の症状」「体の症状」そして「性機能の症状」という、3つの症状があると説明しました。

では、この「心」「体」「性機能」の3つの症状が、同時多発的に出るものなのでしょうか。その答えは「イエス」でもあり「ノー」でもあります。つまり、男性更年期障害の症状は人それぞれの発症のスタイルがあり、心の症状しか出ない人も、体の症状しか出ない人もいます。また、人によっては体と性機能の両方に症状が出たり、3つすべての要素に症状が出たりする人もいます。症状の個人差はかなり存在すると言わざるを得ません。

そうなると男性更年期障害なのか、はたまた他の病気なのか、その区別も難しくなってくるといえます。例えば、気分が落ち込んだりイライラするような症状は、男性更年期障害の症状なのか、うつ病の症状なのか、判別はつきにくいものです。

「もしかして男性更年期障害?でも、別の病気かもしれない…」。そんな不安を感じたときは、「AMSスコア(加齢男性症状調査表)」というセルフチェックを活用することをオススメします。

男性更年期障害のセルフチェック「AMSスコア」

「AMSスコア(加齢男性症状調査表)」は、男性更年期障害をセルフチェックするチェックシートです。簡単な質問に答えるだけで、自分が男性更年期障害の症状に当てはまっているかどうかを調べることができます。質問は17項目あり、マークシートのように答えます。それぞれの質問は「なし(1点)」、「軽い(2点)」、「中等度(3点)」、「重い(4点)」、「非常に重い(5点)」と5つのスコアがあり、その点数の合計点が診断結果となります。

AMSスコアによる男性更年期症候群の目安は、おおよそ以下の通りです。

17〜26点:男性更年期障害ではない
27〜36点:軽度の男性更年期障害の可能性がある
37〜49点:中等度の男性更年期障害の可能性がある
50点以上:重度の男性更年期障害の可能性がある

この目安からおおよその判断をするならば、27点以上の場合に、男性更年期の可能性があるといえます。

「AMSスコア」はどこで受けるべきか

AMSスコアはインターネット上で入手できるので、どこでもセルフチェックが可能です。

ただし、ご自身で「もしかして男性更年期障害かも…?」と不安を抱えているのなら、ひとまずインターネット上のAMSスコアでセルフチェックを行い、そして「数値が高いかもしれない」と感じたら、AMSスコアの結果を踏まえた上で、専門の医師に診察をしてもらうことをお勧めします。

受診する場合は、男性更年期障害を外来受診に掲げているクリニック・病院が、豊富な知見と治療実績を有しているので、もっとも好ましいといえます。または、 泌尿器科のクリニック・病院でも受診が可能です。

男性更年期障害の対策は?

適度な運動や生活習慣の改善で男性更年期障害の対策を男性はテストステロン値が高い方が健康的な生き方ができ、長生きするという報告があります。そのため、テストステロンは「長生きホルモン」と呼ばれることもあります。
男性が前向きで健康的な人生を送りたいなら、適切な対策をして男性更年期障害の症状を軽減させることが大切です。

男性更年期障害の対策(1)精神的なハリを作る

テストステロンは、何か目標を持ったり、競い合うことによって、分泌が高まりやすくなります。ゴルフや将棋などで楽しく競い合ったり、カラオケや絵画など趣味を楽しむなど、社会やコミュニティーの中で居場所を作り、自己表現ができる環境を作りましょう

男性更年期障害の対策(2)適度な運動を継続する

適度な運動をすることで筋肉を動かすと、テストステロンの分泌量が増加します。スポーツジムで汗を流したり、ランニングやサイクリングを日課にするなど、適度な運動を習慣化しましょう。

また、サッカーやバスケットなどのチームスポーツは、社会性を高める一面もあります。そのため、テストステロンの分泌をより促すことが期待できます。

男性更年期障害の対策(3)生活習慣を整える

不規則な睡眠時間や暴飲暴食、運動不足など、不摂生な生活習慣は万病のもと。男性更年期障害も同様で、不規則な生活習慣がテストステロンの正常な分泌を妨げ、ホルモンバランスの乱れの要因になります。生活習慣を整えると、おのずとホルモンバランスも整います。

特に質の高い睡眠時間は大切で、十分な時間をとり、就寝前はスマホの使用などを控えてリラックスして入眠しましょう。

男性更年期障害の対策(4)適度な運動を継続する

強いストレスを感じると、脳が精巣にテストステロンを分泌する指示が弱くなり、テストステロン値が低下してしまう可能性があります。ストレスをゼロにすることは困難ですが、なるべくストレスから遠ざかり、オフは趣味に打ち込むなどして心を乱さないようにしましょう。

男性更年期障害の対策(5)テストステロン補充療法

テストステロン自体を、治療で体内に補充する方法があります。それが「テストステロン補充療法」です。
テストステロン補充療法には、経口剤(飲み薬)をはじめ、注射剤や皮膚吸収剤(クリーム)があります。もっとも一般的なのが注射剤による筋肉注射で、治療直後から効果が期待できる即効性が特徴です。

テストステロン補充療法は、医院・クリニックに2〜3週間に1回通院し、3か月ごとに効果判定を行なって治療成果を評価します。そして、治療期間などを話し合います。

テストステロン補充療法は、前立腺がんや重症化した前立腺肥大症などの既往症の疑いがある場合は治療できません。また、睡眠時無呼吸症候群の人にも適用できない可能性があります。

まとめ

いかがでしたか?

男性更年期障害は、男性ホルモンのテストステロンの減少により発症します。男性が意欲的に、若々しく生活を送るためにも、男性更年期障害は早ければ40代から症状が現れます。

「もしかして男性更年期障害かも」と感じたら、早めにセルフチェックを行い、早期の対策を行いましょう。そして「人生100年時代」を、健やかに過ごしたいものです。

小山 太郎

この動画の解説者

Dクリニック新宿 院長

医学博士/日本抗加齢医学会専門医

小山 太郎(こやま たろう)

2001年 3月 慶應義塾大学 医学部 卒業
2001年 5月 慶應義塾大学病院 入職
2007年 3月 慶應義塾大学 大学院 博士課程 修了
2007年 9月 Brigham and Women's Hospital 入職
2009年10月 Dクリニック東京(旧 城西クリニック) 入職
2021年 6月 Dクリニック新宿 院長就任

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