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気づけば、ここ1週間ほど笑っていないかも!?

1.症状

1日中、笑わないことがよくある

笑いというのは、ユーモアによる体の反応。「はっはっはっはっ」という特徴的な周期性の発声と、表情・体の筋肉運動という2つの要素で構成されています。笑い声と笑顔が一緒になって、初めて笑いになるわけ。ニコっと微笑んだだけでは、笑ったことにはなりません。

「そういえば最近、うちのおじいちゃん、声を出して笑ってないわ……。会話も少なくなったし、ボーっとしていることが多いみたい。どこか具合、悪いのかしら?」

笑いが減ったことを、本人は自覚しにくいようです。ですから、同居している家族の方が、先に気づくかもしれません。でも、高齢のひとり暮らしや、高齢夫婦の二人暮らしでは、笑いが減ったことに気づかないまま、年月が経過してしまうかも……。

2.原因

加齢により脳機能が衰えると、笑いが減ってしまう

笑いは年齢と共に減ってきます。ある研究結果によると、小学生くらいは1日平均300回笑いますが、20歳では1日平均20回と激減。70代では1日平均たったの2回になってしまいます。

よく笑うといわれている大阪の、とある企業の従業員1600人を対象とし、笑いの頻度を男女別、年代別に比較調査してみました。その結果、女性では、毎日声を出して笑う割合が、20歳代64%、40歳代52%、50歳代32%と、加齢によって減少するというデータが。

一方男性は、20歳代50%、40歳代36%、50歳代33%という結果に(下図)。また、40歳代以上の男性は、週に1度も声に出して笑わない人が2割以上もいたそうです。働き盛りの男性はストレスが多いので、笑いが減ってくると考えられます。


ところが、仕事のストレスが減る高齢になっても、笑いが減少しているのですから、ストレスだけが原因ではない様子。笑いは高度な脳機能を使用します。一瞬で理解して、一瞬で笑う。加齢により脳機能が衰えると、笑いが減ってしまうのです。

 

3.放っておくと…

笑いの少ない生活を続けると、1年後、認知症になりやすいかも!?

65歳以上の方を対象に、笑いの頻度と認知機能の関係を調査したところ、ほぼ毎日笑う人に比べて、笑わない人は認知機能が低下している場合が多かったのです。しかし、認知症だから笑わないのか? 笑わない生活をしているから認知症になりやすいのか? という疑問から、認知機能が正常な人だけ集めて調査した結果、笑わない人から認知症になりやすいというデータが。

ただし、1年後の認知機能との関係を調べたわけなので、笑わないのが原因で認知症になるわけではなりません。これを調べるには十数年かかってしまう。ここでいえるのは、認知機能が下がってくる前に、笑いが先に減るということ。

もっと簡単にいうと、最近、うちのおじいちゃん笑ってないわ……と思ったら、1年後、認知症になる可能性が高まると考えられます。笑いは、認知症の予測にもなるわけです。

 

4.対策

1時間大笑いすると、1週間分の鎮痛剤に匹敵するほど痛みが緩和

クリアな思考を保つためにも、落語を聴いたり、お笑番組を観たりして、意識して笑おうとすることが大切です。落語で1時間大笑いすると、1週間分の鎮痛剤に匹敵するほど、痛みが緩和するというデータもあるほど。認知機能だけではく、リウマチや肩コリなどにも、笑いはいい作用をもたらします。また、笑いは会話からも生まれます。家にこもらず、積極的に外出して人と会い、会話を楽しむよう心がけましょう。

 

怒りを笑いに昇華させる治療法を真似てみよう

最近30年間で発表された論文のタイトルで『Laughter(笑い)』を含む文献を5年ごとに調べると、1982~’86年には27本であった論文数が、年々増加し、2007~’11では121本にもなったそうです(左図)。30年間で4倍以上も増えているということ。それだけ、笑いと健康・病気との関連が注目されているのでしょう。

上の図でもわかるように、女性より男性のほうが笑わない傾向にあります。それは若い男性であっても同じ。また、怒りを溜める男性は、そうでない男性よりも、4年後に高血圧になる危険性が1.5倍高いという調査結果があるほど。

仕事でのストレスや怒りを溜め込みやすいのは30~40代の男性。しかし、その人たちに、怒りを外に出してください、といっても出せないとか。感情を抑えるのはよくないので、医療現場では、怒りの代わりに笑いで感情を出すアプローチに切り替えているそうです。これは、日常生活でも使えるテクですね。

 

笑うフリをするだけでもリラックス効果あり

そうはいっても、世知辛い世の中、笑う気分になれない人も多いと思います。そんなときは「はっはっはっは~!」と声を出し、笑うフリをしてください。本気で笑わずとも、つくり笑いするだけで効果あり。心が緊張していると眉間がこわばります。すると、体全体が緊張し、血流も滞りがちに。つくり笑いでも眉間の緊張は和らぐので、体全体がリラックス。すると、心もリラックスして笑いやすい状態を取り戻せるでしょう。

体操とヨガの呼吸法を併せ持った『笑いヨガ』(www.karada-aging.jp/practice/undou04/)というものもオススメ。

面白くなくても笑える方法で、体操しながら、最初はつくり笑いでもいいから笑います。しかし、笑っているうちにだんだん楽しくなってきて、無理なく笑えるようになるのです。初めての方は、日本笑いヨガ協会が定期的に開催(東京・名古屋・岡山・福岡)している体験会(参加費500円)に参加してみてはいかがでしょう? 大人数で笑うと、笑いの伝染力により最後は大笑いに! 体験会は何度でも参加できるので、気軽に笑いヨガを楽しめます。

 

 

 

「は」で健康に、「へ」で美しく!

笑いは「はっはっはっ」「ひっひっひっ」「ふっふっふっ」「へっへっへっ」「ほっほっほっ」と発声に種類があります。「はひふへほ」の中で大事なのは「は」。筋肉をいちばん使う笑い方だからです。健康目的での笑い方は「は」を意識しましょう。ちなみに、対人関係で印象をよくするのは「へ」。これは、頬の筋肉をキュっと持ち上げるので、笑顔を美しく魅せるから。飛行機の客室教務員は「へ」の笑顔を意識しながらサービスしているといいます。「へっへっへっ」と声に出すと少し妙なので「へ」と言う口の形にするだけがいいですね。ご参考までに。

 

 

大平 哲也

この記事の監修

大平 哲也(おおひら てつや)

福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター疫学部門 教授
循環器疾患をはじめとする生活習慣病、認知症などの身体・心理的リスクファクターの研究、および心理的健康と生活習慣との関係について研究を行う。自身も笑いヨガ・リーダー(指導者)の資格を有する。

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