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最近怒りっぽくなったのは、脳の老化のせい!?

1.症状

年をとると、若い頃と性格が変わる!?

「最近、部下のちょっとしたミスにもカッときて、声を荒げてしまうように。課長の自分が残業続きで、家で食事も摂れないほど頑張っているのに……って思うと、ついつい。子供の他愛無いイタズラにも、真剣に怒鳴ってしまって後悔しきり。数年前までは穏やかな性格だったのに。さらに年をとると、ますます怒りっぽくなるのでは? と不安になります」

このように、40代は加齢の兆候が表れやすい年代。残業続きの外食続きで、休日はひたすら寝るだけ、という方、多いのではないでしょうか? 常にイライラしていたり、逆に、穏やか過ぎて無気力になる人もいるようです。

 

 

2.原因

性格の急激な変化は、脳血管老化のサイン!?

脳の動脈硬化が始まっているのかもしれません。脳は、ものすごくエネルギーを必要とする器官。エネルギーである酸素とブドウ糖を運ぶのは血管です。加齢や生活習慣により、血管が硬くて細くなると、エネルギーが十分に運べません。すると、脳そのものは健康なのに、脳細胞の働きが弱くなってしまうのです。

 

脳がエネルギー不足になる部位により、性格の変化は左右される

脳細胞の活動が弱くなるエリアによって、性格の変わりかたに違いが出ると考えられています。側頭葉の内側にある扁桃核の部分は「イライラしやすい」「怒りっぽい」などの感情面に関与。前頭葉の下面は「意欲」や「規律正しさ」に。人間として大切な「倫理観」は、前頭葉や側頭葉が関係しています。つまり、脳の働く部位によって、人の「性格」も左右されるといえるでしょう。

 

3.放っておくと…

イキイキ脳でいられるか否かは、60歳が分岐点

脳に小さな梗塞ができている人は、60歳でおよそ30%もいるという報告が。脳の狭い範囲に梗塞が起きたり、小さな梗塞がいくつか生じると、もの忘れが起きやすくなります。「鍵をかけ忘れる」「火を消し忘れる」「迷子」の3つの行動が典型的。いつまでもイキイキとした脳でいるためには、60歳がひとつの分岐点。40代のうちから、脳血管を柔軟にしておくことが、とても大切だといえるでしょう。

 

4.対策

話題のEPAで血液をサラサラにし、脳神経を活性化!

魚の脂に多く含まれている不飽和脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)を積極的に摂ってください。どちらも必須脂肪酸と呼ばれ、高齢者では体内でほとんど合成されないため、食事で摂取することが必要。DHAは脳神経を活性化し、EPAは血小板凝集抑制効果が高いので、血管を詰まりにくくします。また、EPAは摂取後、体内でDHAに変換されるので、特に注目されている成分。EPAを多く含む食材は、真イワシ、本マグロ、サバ、真鯛、ブリ、サンマなど。DHAを多く含む食材も、EPAとほぼ同じです。

 

薄味の和食に、肉や卵料理を一品プラス

脳の働きを若返らせると注目されているのがアラキドン酸。脳の神経細胞をはじめとする細胞膜の構成成分のひとつであり、ホルモンの合成原料のひとつ。そして、加齢と共に減少してしまう必須脂肪酸です。アラキドン酸を多く含む食材は、豚レバー、牛レバー、鶏ハツ、豚バラ肉、鶏もも肉、卵(卵黄)。レバーが苦手な人は、牛肉でも摂取できます。その場合、牛肉は1日80gが目安。摂取は少量でも十分です。

 

 

お散歩で、五感をフル稼働

運動と質のいい睡眠も、若々しい脳を維持します。日常での運動は、お散歩がオススメ。道の障害物をチェックしたり、街の音や匂いによる情報、足の感覚など、五感をフル稼働させるからです。お昼休み、会社から少し距離のあるカフェに行き、お散歩してみるのはいかが? また、質のいい眠りは、レム睡眠とノンレム睡眠のリズムが大事。そのリズムを崩さないためにも、昼寝は極力避けてください。昼寝するとしても30分以内で起きましょう。

 

加齢による性格の変化を避けるため、若いうちからできる認知行動療法

元々、怒りっぽい人が、怒りを感じる脳細胞が弱ると、さらに怒りっぽくなることがあります。そそっかしい人は、さらにそそっかしくなることも。そうならないためにも、30代や40代のうちから、自分の行動をコントロールするクセを身につけて。

1日の終わりに、自分の行動を書き出してみましょう。「このような行動をとったから、残念な結果になっちゃったんだな」という事がわかれば、そうならないために、どんな行動をとればよかったのか? 損をしない選択はどっちだったのか? これは、決して自分を責めるためではなく、考え方を前向きにする方法。繰り返すうちに、性格は変わらなくても、気持ちや行動に変化が。

これを医学用語で『認知行動療法』といいます。それが将来、脳細胞の働きが低下することにより、自分の弱点が強調されることを防ぐ手立てになるでしょう。もちろん、現在の人間関係や職場環境の改善にもお役立ちです!

 

 

古賀 良彦

この記事の監修

古賀 良彦(こが よしひこ)

杏林大学医学部 精神神経科学教室 教授
医学博士1971年慶応義塾大学医学部卒業、同大学医学部精神神経科学教室入室。76年杏林大学医学部精神神経科学教室に転じ、90年に同大学助教授、95年に教授、01年主任教授となり、現在に至る。日本臨床生理学会理事、日本薬物脳波学会副理事長、日本催眠学会理事長他、多数の学会役員、評議員を兼ねる。

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