1. HOME / 
  2. からだのお悩み / 
  3. 体脂肪・皮下脂肪・内臓脂肪。この違いって一体何?

体脂肪・皮下脂肪・内臓脂肪。この違いって一体何?

老若男女、健康的にも美容的にも気になるのが「脂肪」という言葉。できれば関わらずに過ごしたいものですが、まったく無縁というわけにもいかないものです。人間の身体と切っても切れない「脂肪」ですが、実はいくつかの種類があることをご存知でしょうか? また、脂肪には重要な役割がある反面、増えすぎると健康に被害を与えることもあります。そんな脂肪のいろいろを、アンチエイジング研究もされている井上肇先生に教えていただきました。

 

体脂肪・皮下脂肪・内臓脂肪のすみわけ、できますか?

「脂肪」という言葉はとかく悪者扱いしがちですが、「脂肪は生命を維持するためのエネルギー貯蔵源として不可欠なもの」と井上先生は言います。ただし「脂肪をたくさん貯蓄すると、“肥満”という症状があらわれ、さまざまなからだへの不都合(疾患)を引き起こすことになります」とも。からだへの不都合という言葉を聞くと不安になりますが、まずは3つの脂肪の種類と、それぞれの意味をあらためて確認してみましょう。

1.体脂肪
下記で説明する皮下脂肪、内臓脂肪を総称して体脂肪といいます。この脂肪は食事からの摂取が主体となりますが、消化管から吸収されてグリセリンと結合し、中性脂肪となって、血中を流れています。これが皮下組織に蓄積された形態を「皮下脂肪」、内臓に貯蓄された形態を「内臓脂肪」などと呼んでいます。

2.皮下脂肪
簡単に言うと「体型がくずれる脂肪」。つまり「女性が嫌う脂肪」と言え、腕やお尻、太もも、下腹部などに沈着します。このパターンの脂肪沈着は生活習慣病との直接的な関係は薄いとされますが、体組成に対するこの脂肪の割合は男性に比べて女性に多いことが特徴です。
これは、女性が将来の妊娠、出産、授乳時に備えての蓄えが目的と考えられています。ただし、この皮下脂肪が多くなると内臓を圧迫し、さまざまな弊害をもたらすこともあります。

3.内臓脂肪
その名のとおり内臓につく脂肪で、お腹の空洞内(腹腔)の腸管などの周辺につきます。この脂肪がついてくると、お腹(ウエスト)のあたりがポコッと出てきます。体重はあまり変わらないやせ型や普通体型の人でも、ウエストが太くなったら要注意。なぜなら、この内臓脂肪は、生活習慣病に関係が深いタイプの脂肪だからです。
昔は中年男性に多かったのですが、最近は、若い男女・子どもにも増えています。俗に「隠れ肥満の原因」などとも言われます。

脂肪は生命維持に不可欠なエネルギー源

最初に「脂肪は生命維持のために不可欠なもの」と述べましたが、井上先生にもう少し詳しく説明していただきましょう。
「人間は、生きるために必要なエネルギー源の大半を“糖質”と“脂質”でまかなっています。糖質は短期的エネルギー貯蔵形態として、脂質は長期的エネルギーの貯蔵形態として保存され、どちらも必要不可欠な組織であることに間違いありません。

この脂肪の原料となるのが、血液中を流れる中性脂肪。中性脂肪は、食事の影響を強く受け、肉類が大好きな方は、飽和脂肪酸を主体とした中性脂肪が作り出され、菜食主義や魚類などを好む方は、不飽和脂肪酸を主体とした中性脂肪が作り出されます。内臓脂肪にせよ、皮下脂肪にせよ、中性脂肪が沈着したものではありますが、これらは必要に応じて脂肪酸に分解され、エネルギー源として利用されるのです」。
糖質も脂質も、取り過ぎは禁物。しかしながら、ゼロでは人間は生きていけないのですね。

脂肪の適量とは、どのくらい? どうやって計る?

脂肪の適量とは、どのくらい? どうやって計る?

とはいえ“ほどほど”の脂肪量の判断は難しいもの。脂肪の適量とは何なのでしょうか?
「一般的に体脂肪は、体重に対する脂肪の重さの割合、すなわち体脂肪率で算出します。成人男性で10~20%未満、成人女性で20~30%未満が標準値。加齢に伴い、体重は同じでも体脂肪が増えるのは、筋肉の衰えからくるものです」と井上先生。

最近は、この体脂肪率のほかに、内臓脂肪レベルや皮下脂肪率などを計ることができる体重計なども販売されています。各社独自の算出方法をとっていますが、ひとつの目安にはなるでしょう。

また、これらの脂肪の原料となる、血液中の中性脂肪は「食事による影響を大変受けやすいのが特徴。一般的には、血液中に50~150mg/dL未満と基準値が定められています」(井上先生)。健康診断の血液検査などでも確認することができるので、注意して見てみましょう。

脂肪が蓄積すると、どんなリスクが高まるの?

では、脂肪が蓄積すると、どんなリスクが高まるのでしょうか。
井上先生は「基本的には、体脂肪率が標準を超えていれば、体重が標準値であっても肥満と定義します」と解説。それぞれの脂肪のリスクを挙げていただきました。

● 皮下脂肪の沈着によるリスク
生活習慣病のリスクは少ないとされていますが、体重が増加すると、関節や心血管系への負担が増え、内臓を圧迫することで、さまざまな問題を引き起こします。

● 内臓脂肪の増加によるリスク
内臓脂肪よる肥満は怖く、耐糖能やインスリン反応性を低下させ、糖尿病リスクを高めます。同時に過度な内臓脂肪の増加が、脂肪組織から分泌されている生命維持に重要なアディポサイトカインの分泌に異常をきたしたり、血圧を上げたりします。その結果、メタボリックシンドロームと呼ばれる疾患の温床になります。

深刻な病気に陥らないために「過食」「深酒」「ストレス」「喫煙」は禁物

深刻な病気に陥らないために「過食」「深酒」「ストレス」「喫煙」は禁物

脂肪は生命維持に不可欠な組織ですから、すべてなくすわけにはいきませんが、肥満には十分な注意が必要。とくに「肥満は遺伝することも多いため、家族の病気が肥満に基づく可能性があるようなら、自身の体重の変化に気をつけましょう」というのが、井上先生からのアドバイスです。
脂肪の蓄積による病気を招かないために、日常生活の中で心掛けるのは下記の4つ。

・ 適切な食事の量と質を守り、適度な運動をする
・ 過度な飲酒は内臓脂肪を増やすため、適量を守る
・ ストレスを溜め込まないよう、ストレス解消法を見つけて実践する
・ 喫煙は脂肪沈着により引き起こされた疾患の予後を大きく左右するため、禁煙する

また、「近年の研究で『異所性脂肪』という臓器内や組織内に脂肪が蓄積した状態(要するに霜降りの肉)が知られています。この形の脂肪沈着は内臓脂肪型肥満より疾患を引き起こす可能性が高いといわれ始めています」とのこと。
身近でありながら、まだまだ研究が進む「脂肪」。まずは、油断して溜めないことが対処の基本のようですね。

(文・川原好恵)

井上 肇

この記事の監修

井上 肇(いのうえ はじめ)

聖マリアンナ医科大学 特任教授
星薬科大学薬学部卒、同大学院薬学研究科修了。聖マリアンナ医科大学・形成外科学教室内幹細胞再生医学(アンファー寄附)講座 特任教授及び講座代表。幹細胞を用いた再生医療研究、毛髪再生研究、食育からの生活習慣病の予防医学的研究、アンチエイジング研究を展開している。

この記事が気に入ったらシェアしよう!

CLOSE